この記事で解決できる悩み
- FXで稼ぐと税金ってどうなってるの?
- 学生の場合、税金の優遇制度とはあるの?
- FXで確定申告はスマホではできないの?
この記事では、このような悩みや疑問について、解決するための解説をしています。
のちほど解説する「学生が利用できる税額控除のパターン3つ」を理解すれば税金がかからない学生トレーダーの要件がわかりますよ。
【はじめに】FXをする学生が知るべき2つの税金知識
FXで得た利益には税金がかかります。
まずはどの部分に課税されるのか、税金の種類や税率を知っておきましょう。
FXをする学生が知るべき2つの税金知識
- FXにかかる課税対象
- FXにかかる税金の種類と税率
基礎知識1:FXにかかる課税対象
FXの課税対象は、1月1日~12月31日の1年間に確定した為替差益とスワップポイントから必要経費を引いた金額です。
FXにかかる課税対象
- FX取引の損益(※1)- 必要経費 = 課税対象
※1:対象期間中に確定した為替損益およびスワップポイント損益
たとえば為替差益が50万円、スワップポイントが2万円、必要経費が8万円の場合、課税対象金額は50万円+2万円-8万円=44万円となります。

基礎知識2:FXにかかる税金の種類と税率
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として扱われ、申告分離課税で20.315%の税金がかかります。
20.315%の内訳は、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%です。
FXにかかる税金
- (課税対象 - 控除額) × 20.315% = 支払う税金
たとえばFXの利益が80万円の場合、80万円×20.315%=162,520円の税金がかかるので、納税資金を確保しておきましょう。

ただし一定の条件を満たせば確定申告義務は発生しないので、あとで詳しく解説しますね!
海外FXは総合課税で扱われる
国内FXの利益は申告分離課税で20.315%の単一税率ですが、海外FXの利益は総合課税で累進課税されます。
累進税率は課税所得の金額に応じて5.105%~45.945%です。

学生が利用できる税額控除のパターン3つ
FXの税金は課税対象金額にそのままかかるわけではありません!
学生は以下3つの控除を引いたあとの金額で税金を計算します。
学生が利用できる税額控除のパターン
- 基礎控除48万円
- 給与所得控除55万円
- 勤労学生控除27万円
パターン1:基礎控除48万円
総所得金額から基礎控除を48万円引くことができます。
ただし、FX以外の収入がない(合計所得金額が48万円を超えていない)ことが条件です。
FX以外の収入がある場合は、基礎控除がFX以外の収入から優先的に引かれます。
たとえばFX以外の収入が15万円、FXの利益が50万円だった場合、基礎控除は先にFX以外の収入15万円に充てられ、残りの33万円をFXの利益から引いて17万円になりますよ。
【注意】親の扶養控除から外れる
合計所得金額が48万円を超えてしまうと、学生本人に納税義務が生じるだけでなく、親の扶養控除が受けられなくなるので気をつけましょう。
親の扶養控除がなくなることで、学生が16~18歳の場合は38万円、19~22歳の場合は63万円に親の税率をかけた金額分、親の税金が上がります。


パターン2:給与所得控除55万円
学生がアルバイトで稼いだお金は給与所得という扱いになり、給与所得控除が受けられます。
給与所得控除は、その給与を得るための必要経費を定めたものです。
なお、給与所得控除は給与の収入金額が多いほど増えますが、給与収入が1,625,000円(月平均135,000円)までなら一律55万円なので、学生は55万円と覚えておきましょう。
アルバイト収入がある場合は103万円
学生はアルバイト収入が103万円以下なら税金がかかりません。
なぜなら給与所得控除55万円と基礎控除48万円の合計103万円の所得控除が受けられるからです。
たとえば、アルバイト収入が70万円でFX収入が30万円だった場合、合計所得金額は70万円 ー 55万円 + 30万円 = 45万円となり、基礎控除48万円に収まるので税金はかかりません。
一方、アルバイト収入が30万円でFX収入が70万円だった場合、合計所得金額が30万円 ー 30万円 + 70万円 = 70万円となり、基礎控除48万円を超えるので税金がかかります。

パターン3:勤労学生控除27万円
働きながら勉強する学生は、勤労学生控除の適用要件を満たせば合計所得金額から27万円を控除することができます。
具体的な条件は以下3つなので、判断がつかなければ通っている学校の窓口に問い合わせてみましょう!
勤労学生控除の対象となる人の範囲
- 勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) 給与所得などの勤労による所得があること
(2) 合計所得金額が75万円以下(令和元年分以前は65万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。
(3) 特定の学校の学生、生徒であること
この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。
イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ 国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定する学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者(注1)により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程(注2)を履修させるもの
ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程(注2)を履修させるもの
以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してください。
勤労学生がFXする場合は10万円まで
勤労学生控除を受けたいなら、勤労以外の所得は10万円以下であることが条件です。
つまりFXの為替差益+スワップポイント-必要経費が10万円以下でなければなりません。
たとえばFXの収入が8万円、スワップポイントが3万円、必要経費が2万円なら8万円 + 3万円 ー 2万円 = 9万円なので10万円以下の基準はクリアしています。
FXをする学生が行うべき税金対策3つ
FXに対する税金は、以下3つの対策をとれば安くすることができます。
FXをする学生が行うべき税金対策
- 経費は必ず申請する
- 損失は必ず確定申告する
- 両建てして利益の繰延する
ここでは簡単に説明しますが、より詳しく知りたい人は以下のリンク先をご参考ください。
税金対策1:経費は必ず申請する
FX取引でかかった経費があれば、忘れずにFXの収入から引きましょう。
経費として引いた金額×20.315%分の税金が節税できますよ。
ただし、経費として引けるのはFXと関係があるものだけなので、たとえば生活費や遊興費などの税金は引けません。
また、客観的な証明として、経費を払ったときのレシートや領収書は必ず保管しておきましょう。
税金対策2:損失は必ず確定申告する
年間収支がマイナスになっても、忘れずに確定申告をしましょう。
なぜならFXの損失を申告すれば、3年間の繰越控除を受けられるからです。
たとえば今年、1年後、2年後に毎年30万円ずつ損失を申告しておくと、3年後に100万円の利益が出ても、過去の損失と相殺して10万円の利益に対する税金ですみますよ。
なお、損失の繰越控除を受けるには、取引の有無に関係なく毎年確定申告をし続けることが条件ということを覚えておきましょう。
税金対策3:両建てして利益の繰延する
年末にある程度の利益が確定しているときは、両建てをして含み損のポジションのみを決済し、年が明けてから含み益のポジションを決済する方法があります。
こうすれば、トータルの損益をプラスマイナスゼロにしながら節税ができるんです。


ただし、為替損益の影響を受けるので、相場状況も把握したうえで、決済タイミングを判断しましょう。
学生がスマホで確定申告をする3つのステップ
FXの確定申告は以下3つの手順で行いましょう。
はじめてでもスマホで簡単にできるので大丈夫ですよ。
学生がスマホで確定申告をする3つのステップ
- 必要書類を揃える
- スマホで申告内容を入力する
- 確定申告書を提出する
注意点
- アルバイトなどの給与所得がある場合、FXの利益が20万円を超えていたら、控除により税額は0でも確定申告をする必要があります
ステップ1:必要書類を揃える
FX会社の取引ツールや公式サイトから「年間損益報告書」をダウンロード・印刷するとともに、アルバイト収入がある学生は「年末調整ずみの源泉徴収票」、あと口座開設にも使った「マイナンバー」の3つを用意しましょう。
マイナンバーカードがあればe-Taxで電子申告ができるのでさらに便利ですよ!
ステップ2:スマホで申告内容を入力する
手書きよりも、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からスマホで金額を入力して作成するのがおすすめです。
理由は入力する数字と場所さえ間違えなければ、税額をすべて自動計算してくれるからです。

ステップ3:確定申告書を提出する
確定申告書の提出方法には、窓口、郵送、e-Taxによる電子申告の3種類があります。
窓口に行く手間や郵送代の節約になるので、e-Taxによる電子申告がおすすめです。
なお、令和2年分の所得税の確定申告と納税の期限は、令和3年2月16日(火)~令和3年3月15日(月)なので、忘れずに手続きをしてくださいね。
FXをする税金対策のまとめ
この記事で重要な「学生が利用できる税額控除のパターン3つ」について再度確認しましょう。
学生が利用できる税額控除のパターン3つ
- 基礎控除48万円
- 給与所得控除55万円
- 勤労学生控除27万円
これらの控除額を理解すれば、FX取引で税金がかかるかがわかりますよ。