この記事で解決できる悩み
- 株とFXにかかる税金ってどれくらいなの?
- 株とFXの損益は合算できるの?
- 株とFXの税金支払い額を減らして節税したい
この記事では、このような悩みや疑問について、解決するための解説をしています。
のちほど解説する「FXと株で共通する税金対策2つ」を理解して実践すれば、FXや株の税金への不安がなくなりますよ。
【はじめに】株とFXは損益通算できない
株とFXの損益は、課税対象が違うので損益通算ができません。
たとえば株で30万円の損失、FXで60万円の利益が出たケースで、両者を通算して30万円の利益として申告することはできないのです。

株とFXの税金ポイント①
- FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」、株の売却益は「株式等に係る譲渡所得等」とそれぞれ課税対象が異なるので、両者間で損益通算することはできない。
株の売却益とFXの利益は申告分離課税
株とFXの利益は、申告分離課税という方法で一律20.315%の税率で課税されます。
これらの所得は、利益の金額を問わず税率が固定されるのが特徴です。
一方、給与所得や不動産所得などは、総合課税という方法で累進税率で課税されます。
累進税率では、課税所得の金額に応じて税率が5〜45%で変動するのが特徴です。
株とFXの税金ポイント②
- 総合課税は所得が多くなると税金が多くなる累進課税。株とFXに係る分離課税は所得の多さに変わらず20.315%が課税される。
FXと株で共通する税金対策2つ
FXと株で共通する税金対策として2つ紹介します。
損失が出ても節税につながるので、諦めずに確定申告をしましょう!
FXと株で共通する税金対策
- 繰越控除
- 損益通算
税金対策1:繰越控除
繰越控除とは、株やFXの年間損益がマイナスになった場合に、確定申告をすることで損失を上限3年として繰り越せる制度です。
たとえばFXで今年20万円、1年後に30万円の損失を申告しておけば、2年後に50万円の利益が出ても税金はゼロになります。

税金対策2:損益通算
株とFXの場合、それぞれの所得内であれば損益通算ができます。
株なら配当所得を申告分離課税にすることで、譲渡所得と配当所得を損益通算できますよ。
FXのケースでは、たとえばSBI FXトレードで30万円のFXの損失と、外為オプションで出た50万円のバイナリーオプションの利益を損益通算して、トータル20万円の利益として申告できるんです。
FXで損益通算できるパターン6つ
- FX会社同士
- CFD
- バイナリーオプション
- 商品先物
- 日経225先物
- TOPIX先物
株式で損益通算できるパターン2つ
- 証券会社同士での譲渡損益
- 譲渡損益と配当金(申告分離課税の場合)
FXの税金の支払い方法はひとつだけ
FXの税金は、為替差損益とスワップ損益を合算して必要経費を差し引いた金額を申告分離課税として確定申告します。
FXの利益は源泉徴収されないので、利益が出れば自分で確定申告をするしかありません。

FXと源泉徴収の仕組みを詳しく確認したい方は以下の関連記事をご参考ください。
口座の種類で異なる株の税金の支払い方法3つ
株には特定口座と一般口座の2種類があり、口座によって税金の取扱いも異なります。
正しく理解して、手続き漏れのないようにしましょう。
口座の種類で異なる株の税金の支払い方法
- 特定口座(源泉徴収あり)の場合
- 特定口座(源泉徴収なし)の場合
- 一般口座の場合
方法1:特定口座(源泉徴収あり)の場合
源泉徴収ありの特定口座の場合、証券会社が本人に代わって税金の申告と納税の手続きを行ってくれるので、確定申告は不要です。
ただし損失の繰越控除を受けたいときは、自分で確定申告する必要があるので気をつけましょう。
また、既存の特定口座で源泉徴収の選択有無を変更するには一定の条件があるので、詳しくは証券会社の公式サイトを確認してくださいね。
方法2:特定口座(源泉徴収なし)の場合
源泉徴収をしない特定口座の場合、証券会社から届く年間取引報告書を使って自分で確定申告をする必要があります。
FXとほぼ同じ流れになりますね。

方法3:一般口座の場合
一般口座は、年間の損益計算をはじめ、確定申告から納税まですべて自分で行います。
法人形態で株式投資を行うときや、未公開株式を購入するために使われます。
こちらも年間損益がマイナスになった場合、確定申告をすれば節税できる可能性がありますよ。
株の配当金の税金の支払い方法3つ
株の配当金の税金にも3つの支払方法があります。
それぞれの方法を見ていきましょう。
株の配当金の税金の支払い方法
- 源泉徴収
- 総合課税
- 申告分離課税
方法1:源泉徴収
源泉徴収は、トレーダーが配当を受け取る時点で配当の支払者(証券会社)が税金を天引きして、トレーダーに代わって税務署に納税する仕組みです。
特定口座で受け取る配当金は、源泉徴収を選択することで確定申告が不要になりますよ。

方法2:総合課税
総合課税とは、給与や事業所得などと合算して累進税率で課税される仕組みです。

なお源泉徴収と異なり、総合課税を受けるには確定申告が必要です。
方法3:申告分離課税
申告分離課税とは、総合課税の所得とは切り離して単一の税率20.315%で課税する方式です。
申告分離課税で確定申告をすれば、株の譲渡損失と損益通算ができるメリットがあります。
たとえば配当金が20万円のプラスで譲渡損失が5万円の場合、損益通算すれば15万円のプラスになるので、配当金5万円から源泉徴収された税金(5万円×20.315%=10,157円)の還付を受けられます。
なお、申告分離課税を受けるには確定申告が必要なので、注意しましょう!
【注意】株は経費計上が認められない
株の譲渡益は原則として譲渡所得として扱われるので、経費計上が認められません。
しかし雑所得として確定申告することで、必要経費を計上して節税することができます。

経費計上する注意点
- 雑所得に経費計上する場合、どこまでが経費計上できるかや、雑所得に該当するかなどを税理士や税務署へ相談するようにしましょう
株とFXの確定申告を楽に終わらせる5つのステップ
簡単に確定申告をすませれば、その分取引に集中できますよね!
その方法を5ステップに分けて紹介します。
株とFXの確定申告を楽に終わらせる5つのステップ
- 確定申告が必要か確認する
- キャッシュバックキャンペーンは一時所得扱い
- 確定申告に必要な書類をそろえる
- 税金額が自動計算されるWebで申告する
- 確定申告の期間を守る
確定申告書の具体的な書き方については以下の関連記事を参考にしましょう。
ステップ1:確定申告が必要か確認する
株やFX以外の所得の有無によって確定申告義務が発生する条件が異なります。
給与所得者とそれ以外に分けて解説しますね。
サラリーマンは20万円以上で確定申告
サラリーマンなどの給与所得者は、株やFXで年間20万円以上の利益が出た場合に確定申告義務が生じます。
なお、20万円の判定は株とFXの利益の合計で判定します。
たとえば株で8万円、FXで16万円の利益だった場合、合計の利益が24万円になり20万円以上になるので、確定申告が必要です。
サラリーマンに関するFXの税金については以下の記事も参考にしてください。
なお、給与収入が2,000万円以上の方は、株やFXの利益の有無に関係なく確定申告義務がありますよ!
主婦や学生は48万円以上で確定申告
無収入の専業主婦や学生は、年間48万円以上の利益が出た場合に確定申告が必要になります。
なお、48万円を超えると自身に税金が発生するだけでなく、配偶者や親(扶養者)の扶養に入っている場合は、扶養が外れて扶養者の税金も上がります。
扶養に入っている方は、年間利益が48万円を超えないように取引をしましょう。
ステップ2:キャッシュバックは一時所得扱い
FX会社のキャンペーンで得たキャッシュバックは一時所得に該当します。

そのため、ほかの一時所得と合算して50万円を超えなければ、キャッシュバックによる税金を払う心配は不要です。
ステップ3:確定申告に必要な書類をそろえる
株やFXの損益が書かれた「年間損益報告書」と「マイナンバー」、さらに給与所得者は「源泉徴収票」を用意しましょう。
手書きで確定申告書を作成する場合は、確定申告書Bをはじめとする以下3つ(損失の繰越控除を受ける場合は4つ)の用紙も必要です。
年間損益報告書は証券会社またはFX会社、源泉徴収票は勤務先、確定申告書の用紙は税務署の窓口でもらうか、国税庁のホームページから印刷しましょう。
確定申告に必要な書類
- 年間損益報告書
- マイナンバー
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
【手書きで行う場合】
- 確定申告書B
- 所得税申告書第三表
- 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
- 先物取引に係る繰越損失用(損失がある方)
ステップ4:税金額が自動計算されるWeb上で申告する
確定申告書の作成は手書きよりも、国税庁の確定申告書等作成コーナーからスマホかパソコンで行うのがおすすめです。
なぜなら以下3つの確定申告書の提出方法のうち、窓口に出向く手間や郵送費用がかからないからです。
確定申告書の提出方法3つ
- 税務署や還付申告センターの窓口
- 郵送
- インターネット
確定申告をネット上だけですませるには、マイナンバーカードを取得してマイナポータルから電子申告する必要があります。
マイナンバーカードの発行には時間がかかるので、早めに申請しておくといいですね!
ステップ5:確定申告の期間を守る
確定申告の期限は毎年2月中旬から3月中旬で、令和2年分は令和3年2月16日(火)から令和3年3月15日(月)です。
窓口で確定申告書類を提出する場合、3月以降の土日は混雑するので、なるべく2月中にすませましょう。

【注意】助成金等で制限を受ける場合あり
株やFXの所得が増えると、助成金や補助金などを受給できなくなるおそれがあります。
理由は、制度によって受給者の所得に制限があるからです。
また株やFXの所得状況によって、ふるさと納税の控除方法や控除限度額も変わります。
これらへの影響も調べたうえで計画的に投資をしましょう。
FXと株の税金 まとめ
この記事で重要な「FXと株で共通する税金対策2つ」について再度確認しましょう。
FXと株で共通する税金対策2つ
- 繰越控除
- 損益通算
これらの株とFXの税金を理解して実践すれば、節税できますよ!