この記事で解決できる悩み
- FXには源泉徴収はないの?
- 株とFXでは申告方法が違う?
- FXで利益が出ると会社にバレるの?
この記事では、このような悩みや疑問について、解決するための解説をしています。
のちほど解説する「源泉徴収がないFXで税務申告する3ステップ」を理解して実践すれば、FXで確定申告が必要か理解できますよ。
【はじめに】FXは源泉徴収できない!
FXは税制上「先物取引に係る雑所得」として、源泉徴収ができない申告分離課税の扱いを受けます。

そのため、FXで1年間に一定金額以上の利益が出た場合は、自分で確定申告をする必要があります!
そもそも源泉徴収とは?所得と2つの納税方法
所得の種類のよって、源泉徴収されるかどうかが法律で決まっています。
源泉徴収の仕組みとセットで理解するとわかりやすいですよ。
所得と2つの納税方法
- 天引きし納税する源泉徴収
- 確定申告が必要な申告納税
課税方法 | 納税方法 | 確定申告 | |
総合課税 | 申告納税 | 要 | |
源泉徴収 | 一部要(給与所得など) | ||
分離課税 | 申告分離 | 申告納税 | 一部不要(退職所得など) |
源泉徴収 | 一部要(利子所得など) | ||
源泉分離 | 源泉徴収 | 不要 |
方法1:天引きし納税する「源泉徴収」
源泉徴収とは、所得の支払者が税金を天引きして、その所得の支払いを受ける人の代わりに税務署に納税する方法です。
つまり、源泉徴収をされた人は、税務署に確定申告と納税をする必要がなくなります。
年末調整を行う給与の支払者(会社)や、株式投資・配当の所得から源泉徴収を行う証券会社が代表的です。
【補足】FXは特定口座がない
株式投資では特定口座を使って「源泉徴収アリ」を選択すれば、源泉徴収を受けられます。
一方、2020年12月時点でFXには特定口座の制度が存在しないので、源泉徴収ができません。
しかしFX会社が特定口座を導入するよう法改正を要望しているので、将来的にはFXでも源泉徴収される可能性はあります。

方法2:確定申告が必要な「申告納税」
申告納税は源泉徴収されない所得を得た人が行う方式です。
たとえば飲食店の売上や、土木工事を行う大工さんが得る収入は源泉徴収されないので、自分で確定申告をして納税します。
また、サラリーマンが医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合など、源泉徴収されていても特別な控除を受ける場合にも確定申告が必要です。
ちなみにFXの利益も源泉徴収されないので、確定申告をして申告分離課税という方式で課税されます!
FXとは違う?株の申告方法は3つの口座によって異なる
株の場合は、証券口座の種類によって税金の納め方が変わります。
これから株取引口座を作る人はどのような納税方法があるのか、FXと納税方法が違うことを念頭に入れて理解しておきましょう!
株の申告方法は3つの口座それぞれ異なる
- 特定口座の場合
- NISA口座の場合
- 一般口座の場合
株の納税方法1:特定口座の場合
特定口座を使えば、証券会社が1年間の損益を記載した「年間取引報告書」を作ってくれます。
毎回の取引損益を自分で計算する作業がいらないので、納税の手続きが楽になります。

なお、特定口座では源泉徴収の有無を選べますが、初心者は「源泉徴収アリ」がおすすめですよ。
初心者におすすめの「源泉徴収アリ」
「源泉徴収アリ」を選択すると、証券会社がトレーダーに代わって納税してくれるので、確定申告が不要になります。
確定申告を気にせず取引に集中したい初心者におすすめですよ。
ただし、取引で利益が出たときに自動的に納税されるので、本来なら不要な源泉徴収をされるケースがあります。

確定申告が必要な「源泉徴収ナシ」
「源泉徴収ナシ」の場合は自分で確定申告する必要があります。
とはいえ証券会社が作成した年間取引報告書を使って確定申告ができるので、比較的手間は少ないです。
また、「源泉徴収アリ」の場合と違い自動納税ではないので、利益が少なく確定申告義務が生じない場合は源泉徴収されずにすむのがメリットです。
株の納税方法2:NISA口座の場合
NISA(少額投資非課税制度)で利用するNISA口座はほかの口座とは税制が異なります。
NISA口座では利益に対する税金は一定期間非課税なので、原則として確定申告義務はありません。
ただしNISA口座以外の収入がない人で、利益が48万円以下の人は確定申告をすれば税金が還付される可能性があります。

株の納税方法3:一般口座の場合
一般口座は、特定口座やNISA口座で管理されない株式を扱う口座です。
証券会社は何もしてくれないので、損益計算や確定申告などはすべて自分で行わなければなりません。
取引で利益を出すこと以外にもやることが多く大変なので、確定申告になれた上級者向けといえます。
源泉徴収がないFXで税務申告する3ステップ
FXには源泉徴収がないので、自分で確定申告と納税の手続きを行う必要があります。
納税義務の判断基準と、義務があった場合にとるべき行動をお伝えしますね!
FXで税務申告する3ステップ
- FXでの所得金額を計算する
- 確定申告が必要な4つの条件を調べる
- 確定申告書を作成し提出する
ステップ1:FXでの所得金額を計算する
まずは1年間でどのくらいFXの利益出ているかを調べましょう。
FX会社から「年間損益報告書」を取り寄せて粗利益を把握して、そこから必要経費を差し引きます。

ステップ2:確定申告が必要な4つの条件を調べる
次に確定申告が必要な条件に当てはまるかを確認します。
具体的な4つの条件をみていきましょう。
確定申告が必要な4つの条件を調べる
- 年末調整をする給与所得者は20万円以下
- 扶養内の主婦や学生は48万円
- 公的年金収入400万円以下なら20万円
- 損失が出た場合は確定申告がお得
条件1:年末調整をする給与所得者は20万円以下
給与所得が2,000万円以下で年末調整をした人は、FXを含むその他の所得が20万円以下なら、確定申告義務がありません。
一方、給与所得が2,000万円以上の人や、複数の会社から給与をもらっている人は確定申告が必要です。

条件2:扶養内の主婦や学生は48万円
夫の扶養に入っている専業主婦や学生は、FXの利益が48万円以下の場合、確定申告は不要です。
パートやアルバイト収入がある場合、収入55万円までなら給与所得控除により給与収入がゼロになるので、FXの利益が48万円以下なら確定申告はいりません。

なお、基礎控除の金額が2019年までの38万円から2020年以降は48万円に増額されました。
条件3:公的年金収入400万円以下なら20万円
給与所得がなく、公的年金等の年間収入が400万円以下の人は、FX等の収入が20万円以下なら確定申告が免除されます。
これらの条件を満たさなければ確定申告が必要です。
年金所得者向けの「確定申告不要制度」については、国税庁ホームページを参照してください。
条件4:損失が出た場合でも確定申告がお得
たとえ年間を通して利益より損失の方が多くても、確定申告しておいた方が良いです。
なぜなら損失を確定申告することで、3年間の繰越控除を受けられるからです。
たとえば今年、1年後、2年後に毎年50万円の損失を申告しておけば、3年後に150万円の利益が出たときに相殺して税金をゼロにできます。

ステップ3:確定申告書を作成し提出する
確定申告が必要になった場合、スマホあるいはパソコンから国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成しましょう。
税務署への提出方法には窓口に持参・郵送・e-Taxの3つがありますよ。
FXの確定申告書の作成方法については、以下で確認しましょう。
FXの利益が出て確定申告するとバレる
FXの利益を申告をすると、FXをしていることが会社に知られる可能性があります。
理由は、市役所から勤務先に送付される住民税の特別徴収通知書の雑所得の有無がわかり、雑所得があれば、その分の住民税が増えるからです。

対策:確定申告書作成時に普通徴収にする
確定申告書を作るときに「普通徴収」を選択すれば、雑所得の存在を会社に知られなくなります。
具体的には、「住民税に関する事項」の箇所で、FXの税金を給与からの天引きではなく「自分で納付」に〇をつければいいんです。
そうすればFXの税金分の納付書が自宅に送付されるので、金融機関やコンビニなどで期限までに支払えば納税手続きは無事完了です!
源泉徴収がないFXで確定申告が必要か調べる方法のまとめ
この記事で重要な「源泉徴収がないFXで税務申告する3ステップ」について再度確認しましょう。
源泉徴収がないFXで税務申告する3ステップ
- ステップ1:FXでの所得金額を計算する
- ステップ2:確定申告が必要な4つの条件を調べる
- ステップ3:確定申告書を作成し提出する
これらのFXの税務申告する方法を理解して実践すれば、FXでの確定申告の有無や作成する流れが理解できますよ。